nakatamokuzai
木について

数百年の樹齢を重ね古木になった柿の木の中でも、心材に墨で書いた様な黒い紋様が入ったものを黒柿と言います。とても希少な材で、数万本分の1の割合でしか現れないと言われています。東北、信州、山陰地方で時々見つかっており、土壌が火山灰を含み、冬は雪が積る地が適した所で生まれるとも言われていますが、その条件は科学的な根拠もなく、現状では自然界の神秘となっています。

様々な自然現象が積み重なり数百年の年月を経て生み出される黒柿は、その貴重性や神秘的な紋様から、古くから珍重されてきました。奈良の正倉院の宝物、黒柿両面厨子は代表的な作品です。

紋様で有名なのは、孔雀の羽を思わせる孔雀杢で、黒柿の中でもさらに希少で人気が高く、高価で取引をされています。その他、他の木と同じように、網杢やぶどう杢なども現れます。

柿の木は弱く成長が遅い木です。数百年の樹齢のものでも幹は1mにも及びません。野生林では生きていけないと言われています。実をつけることから人に守られ、大切にされて、人とともに生きてきた木と言えます。


青森ヒバの作品
No.218
黒柿小皿